名古屋人なら知っておいて欲しい、八丁味噌問題
名古屋は観光する場所がない何て言われてますが、名古屋メシはそこそこに認知度ではないかと思っています。
代表的なものに「味噌カツ」「味噌煮込みうどん」と来るわけですが、そうすると出てくるのは「八丁味噌」です。
恥ずかしながら僕もごく最近まで知らなかった「八丁味噌問題」です。
これは結構な問題でして、今後の愛知の食文化の信用に関わると思います。
愛知の食文化を壊す「八丁味噌問題」
まず「八丁味噌問題」とは何なのかを最初に確認しておきますと、
「ちゃんと八丁味噌を懇切丁寧に作ってきた岡崎の2社(カクキュー、まるや)が八丁味噌を名乗れなくて、愛知県内でテキトーに作ったメーカーが八丁味噌を名乗れる」
と言うトンデモないことになっているのです。
その主な原因は農林水産省が管理しているGI表示問題。
地理的表示(GI)
伝統的な生産方法や気候、風土、土壌といった生産地の特性が、品質などに結びついている商品について、原産地を特定する表示。日本では2015年に、地理的表示を知的財産として保護する「地理的表示保護制度」がスタートし、これまでに神戸ビーフや夕張メロン、八丁味噌など、59の名称が登録されている。登録された名称には「GIマーク」が付けられる。
岡崎の八丁味噌は「杉桶を使用して、石積みで圧力をかけ二夏二冬以上じっくり熟成させたもの」なのに対して
農林水産省が定めたものは「桶の形状はなんでもいいし、何で圧力かけてもいいし、熟成させる期間はひと夏でいい」
と言う「は?そんなん伝統でもなんでもないじゃん!」と言うツッコミどころありまくりな基準です。 農林水産省のページをのせておきます。
登録の公示(登録番号第49号)
カクキューとまるやが作り上げてきたブランド(信用)を他の愛知県内の味噌メーカーが横取りしているわけです。 いくら農水省のお墨付きを得たとは言え、正直大人として恥ずかしいでしょ、コレ。
機械化が全てではないけれど・・・
今年6月に岡崎のカクキューさんを実際に訪問したからこそ、こだわりと思いを感じています。
今後リニアが開通する名古屋が日本全国引いては世界に愛知の食文化を発信していくのに、名前だけ使えれば良いと言うのは、愛知が提唱するモノづくりへのこだわりと真逆では?って思うのです。
勘違いして欲しくないのは、ちゃんとした民間企業間の競争はあってしかるべきと言うことです。
伝統的製法が全てではないし、機械化をしてそれで美味しい味噌が作れるなら尚のこと八丁味噌を名乗る必要性すらないはずです。
少なくとも名ばかり八丁味噌を名乗るメーカーが、まるやとカクキューに対して敬意を払っているとは思えません。 どうせなら他のブランド名を作ってでもガチンコ勝負して欲しいです。
今後、文化財としての和食を世界に誇りたいなら八丁味噌の制定に対する農水省の怠慢は許すべきではない。
愛知県内の伝統的製法で自分が目で見た例は西尾の「はとや」くらいですが八丁味噌とは名乗りません。 これこそ本当の意味でのメーカー同士の切磋琢磨でしょう。
名古屋は周りの地域に生かされている
少し本筋とは外れますが、名古屋メシと呼ばれるものには純粋には名古屋が発祥でないものもあって、八丁味噌を使った山本屋大久手の味噌煮込みうどん、三重県由来の天むすや味噌カツがあります。 名古屋は消費する場所だからこそ、利益のもとを作る生産者へのリスペクトは欠かせません。
実際に僕が足を運べたのは瀬戸、半田、碧南、美浜、西尾、岡崎、設楽、新城とまだまだ少ないです。
それでも現地の生産者の人たちの顔を見ると「名古屋はあなた達に支えられてここまで来ました」って気持ちになりました。
これからリニアも来るし、愛知全体の魅力の発信を名古屋が担えるようにしていきたい!と名古屋人として思います。